転職ノウハウ

転職活動を始める前に

キャリアプランを考える

■転職活動の「ゴール」はどこにある?
 
 あなたは何のために転職活動をするのですか? 転職活動の最終目標(ゴール)とは何でしょう? 「希望する企業に入社すること」と思いがちですが、実はそれはゴールではありません。最終的な目標は、「自分が思い描く働き方ができること」、「なりたい自分に近づくこと」です。職業人として、また一人の人間として、どんな人生を歩んでいきたいのか、どんな人物になることを目指すのか。それを実現するための手段として「転職」があるのです。
 
 転職活動を始めるにあたっては、まず「なりたい自分」を明確にしておくことが大切です。転職の面接でも、「今後のキャリアプランを聞かせてください」などと質問をされることが良くあります。目先のことだけを考えるのではなく、5年後、10年後にどんな自分になっていたいのか、将来像をしっかり考えた上で転職活動に臨みましょう。
 
 
■10年後の自分を想像してみる
 
 10年後、あなたはどのような立場にいて、どんな仕事をしていたいでしょうか。実現の可能性はとりあえず横に置いて、まずは自分の「理想像」を定めましょう。
 
 例えば30歳男性の場合。「10年後には営業部長クラスになって、数十人の部下を統率する立場になっていたい。大手企業とも対等に商談ができるような存在になりたい」と考えたとしましょう。
 
 では、その夢を実現するために、5年後はどうなっていれば良いでしょう? 3年後、1年後、半年後は? 段階を区切り、理想に近づくためのステップを思い描いてみましょう。
 
  10年後 … 部下数十人を統括する営業部長。大手企業と対等に商談ができる
  5年後   … 課長クラス。十人程度の部下をまとめ、課の成績を上げる
  3年後   … チームリーダー。後輩と協力し、大きなプロジェクトを成功させる
  1年後   … 力をつけ、大きなプロジェクトチームに入る
  半年後  … 成績を上げ、上司に認めてもらう
 
 例えばこんなプランが描けたとします。では現在のあなたと比較して、どんなスキル・経験を身につける必要があるでしょうか? それは今いる会社で実現できそうですか? 今の会社で理想が実現できるのであれば、転職を目指すよりも社内で頑張っていく方が得策かもしれません。もし、「今の会社では理想が実現できそうにない」と思うのであれば、理想に近づくためにどんな職場に入ればいいかを考えてみましょう。
 
 
■ライフプランも併せて考える
 
 キャリアプランを描く上では、自分自身の人生設計、すなわち「ライフプラン」を同時に考えることが大切です。結婚、出産、住宅購入、介護などのライフイベントは、キャリア形成に大きく影響します。


 
 27歳女性(独身)の場合で考えてみましょう。「10年後、結婚・出産を経て職場復帰し、専門職としてバランスの取れた働き方をしたい」と考えたとします。そのためには、産休・育休制度や時短勤務が利用できる会社で働いていることは大きな条件になってきます。両親の手助けを考えるなら、実家に近い場所に住むという選択肢もありうるでしょう。

  10年後 … 専門職として、子育てとキャリアを両立させる
  5年後   … 出産し、育児休暇を取得
  3年後   … 結婚し、妊娠・出産までは仕事を続ける
  1年後   … 資格を活かし、育休や時短勤務の制度が充実した会社に転職する
  半年後  … 専門職として活かせる資格を取得する

 このように、ライフプランをある程度固めることで、今やらなければならないことが明確に見えてくるだけでなく、転職に求める条件も定まってきます。
 
 
■スモールステップで「なりたい自分」に近づく
 

 中には「10年先の未来なんて想像もつかない」という方や、「理想像はあるけれど、どうすれば近づけるのかわからない」という方もいるかもしれません。そんな時は、まず小さな目標を決め、少しずつ実現していくことを考えてみましょう。
 
 例えば「英語力を高めたい」なら、「TOIECの点数を100点上げる」を直近の目標にしてみましょう。そのために何をすれば良いかを考えれば、「問題集を買ってきて取り組む」「ラジオの英語講座を聴く」「1日に10ずつ単語を覚える」など、様々な対策を思いつくでしょう。
 
 この場合、目標はできるだけ具体的なものにした方が、「達成できた/できなかった」がわかりやすくなります。達成できた場合は次のステップへ。できなかった場合は対策を立て直す、目標設定を見直すなどして、課題解決の方法を見つけ出しましょう。
 
 こうして小さなステップを1つずつ乗り越えていくことで、理想の自分に近づいていくことができます。
 
 
■理想像は修正してもいい
 
 とはいえ、人生は何が起こるかわからないもの。理想に縛られすぎると、かえって身動きが取れなくなることもあります。「理想に到達できない」と気づいたときには、思い切って方針転換を図ることも大切です。
 
 例えば「10年後に数十人を率いる営業部長」が無理だったとしても、「規模の小さな会社に転職して、数名の部下をしっかり統括している」という夢の叶え方もあるでしょう。その時々の状況に応じて、柔軟に考えることも大切です。
 




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