仕事を続けながら転職活動を行う場合と、退職してから行う場合。どちらにもそれぞれメリット・デメリットがあります。現在の職場での立ち位置や仕事量などを考慮して、自分のやりやすい方法を見つけましょう。
■在職中に転職活動を行う場合
《メリット》
1)経済的に安定する
仕事を続けていれば、収入が途切れることがないため、安定した生活を変えることなく転職活動に励むことができます。経済的余裕がなくなると、どうしても焦りが出てきてしまい、条件をしっかり吟味せずに目先の求人に飛びついてしまったり、手当たり次第に応募してしっかり面接対策を講じられなかったりして、最終的に転職に失敗してしまう場合もあります。そうした焦りを抱くことなく、生活と心にゆとりをもって転職先を探せるのは、最大の強みと言えます。
2)キャリアのブランクが生じない
もしなかなか転職先が決まらなくても、在職中ならその期間がブランクになりません。仕事を続けることでスキルや経験も身につき、転職活動の際にアピールできるポイントも増やすことができるでしょう。
《デメリット》
1)転職活動に割ける時間が少なくなる
現在の仕事と併行して転職活動を行うため、これまで以上に忙しくなることは覚悟する必要があります。情報収集や書類作成に充分な時間をとることが難しく、面接のスケジュール調整も困難になります。応募先の企業の面接が平日のみだったり、残業が多く時間が作れない人は、有給休暇を取る、他の人に業務を引き継ぐなどの対策が必要になります。
2)周りに知られないことで精神的に疲労する
職場の混乱を招かないため、同僚や先輩、上司には自分が転職活動中であることを知られないようにする必要があります。特におしゃべりや噂好きな人が周りにいる場合、うっかり口を滑らせたりしないよう、細心の注意を払わなければなりません。それだけで気疲れしてしまう場合もあります。
3)モチベーションを維持しづらい
経済的に余裕があるという安心感から、途中で転職への決意が揺らいでしまうことも考えられます。特に、転職活動がなかなか思うようにいかないことが続くと、「やっぱり今の職場でいいや」と妥協してしまうこともあります。何のために転職をするのか、その目的を自分自身で何度も再確認する必要があります。
4)入社時期を調整しづらい
いざ採用が決まっても、現在の職場を退職するにはどうしても仕事の引継ぎが不可欠です。特に、重要なポジションについていたり、一人で多くの業務を抱えていたりすると、引継ぎにかなりの時間を要することも考えられます。そのため、面接で「いつから出社できますか」と聞かれても即答できない場合が出てきます。企業によっては数ヶ月待ってくれることもありますが、「それなら別の方を…」となる可能性も否定できません。できるだけスムーズに現職場を退職できるよう、段取りを考えておきましょう。
■退職してから転職活動を行う場合
《メリット》
1)時間に余裕がある
退職後の最大の強みは、転職活動にあてる時間がたっぷりとれることです。自己分析や企業の情報収集にじっくり取り組むことができるほか、資格の取得などに挑戦することもできます。与えられた時間を有効に使って、自分の望む転職を実現させましょう。
2)企業の要望に応えやすい
「すぐにでも入社してほしい」という企業側の要望に応えられるので、『急募』とされている求人の場合には特に強みになります。また、入社が決まってからも新しい職場に向けての準備に充分な時間をとることができます。
《デメリット》
1)生活基盤が不安定になる
退職すると当然ながら安定した収入がなくなるため、人によっては経済的不安を抱えながら転職活動をすることになります。不安な気持ちから転職活動に焦りが生じ、納得のいかない転職先でも妥協してしまう、といったことも起こりがちです。
退職後に転職活動を始めようと考えている人は、少なくとも数カ月間は収入がなくても乗り切れる程度に貯蓄をしておいた方が良いでしょう。また、失業保険の給付も受けられるので、経済面と転職活動の状況との折り合いをみながら上手に利用すると良いでしょう。自己都合退職の場合でも、給付開始までにやや時間はかかりますが利用できます。
2)キャリアにブランクが生じる
転職活動が長引けば、その期間がキャリアのブランクになってしまいます。ブランクが長くなると、面接官にあまり良い印象を持たれないことがあります。すぐに転職先が見つかればそれに越したことはありませんが、希望する条件や目標によっては長期戦になることもあり得るでしょう。余力があるならば、空いた時間で資格取得のための勉強を進めるなど、ブランクを有効に活用することを考えましょう。
3)生活リズムが乱れがち
仕事をしていないと、ついつい生活が不規則になってしまう場合があります。起床・就寝の時間や健康管理など、自分自身でしっかり考えて調整していく必要があります。意志の弱い人、自己管理のできない人には不向きと言えるかもしれません。
■最後に
在職中と退職後、転職活動ではどちらがより有利ということはありませんが、経済面やブランクのリスクは在職中の方が少ないと言っていいでしょう。しかし、今の仕事が忙しくてなかなか休みも取れないなど、転職活動と仕事の両立がどうしても難しいという場合は、思い切って退職して転職活動に専念するのもおすすめです。