■職務経歴書は何のために必要?
転職活動では履歴書より重視されることも多い「職務経歴書」。
「履歴書」が氏名・住所・学歴・職歴など貴方の基本情報を伝える書類であるのに対して、
「職務経歴書」は貴方がこれまでどのような業務を経験し、どんなスキルを身につけてきたのかを伝える書類です。採用側は「自分たちの求める人物像に貴方がマッチするかどうか」を見ようとしています。従って、相手がどんな人材を求めているのかを知り、それに対して自分をどのようにアピールするかが、書類選考における勝負の分かれ目になります。
しかし職務経歴書には、履歴書と違って決まった規格やフォーマットがないため、初めて書く人はどうやって書けば良いのか戸惑うことも多いようです。採用担当者に「読んでもらえる」職務経歴書を作るためには、
書く前にしっかり下準備をしておくことが大切。ここではまず作成までの準備について解説しましょう。
■書き始める前にやっておくこと
1. 自分の経歴を詳しく書き出す
まずは貴方自身のキャリアを、勤務した会社や部署ごとに整理してみましょう。
5W1Hに分けて考えてみるとわかりやすくなります。
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WHEN(いつ)…在職期間
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WHERE(どこで)…会社名、所属部署
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WHOM(誰に)…業務の対象となる相手
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WHAT(何を)…取り扱う商材
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WHY(なぜ)…その理由
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HOW(どのように)…手段
それぞれの項目について、箇条書きで簡潔にまとめてみましょう。
このほか、会社の事業内容や規模(従業員数、資本金、売上高)、その仕事での成功体験・達成感を味わった経験、逆に苦労した経験や失敗談、身につけたスキル・資格なども書き出しておきましょう。
2. 「ポータブルスキル」を洗い出す
「ポータブルスキル(持ち運びできるスキル)」とは、
特定の企業や業界だけで役立つ能力ではなく、どこに行っても通用する能力のことです。例えば、アパレルで販売職の経験がある場合、そのお店の商品に関する知識、顧客情報、業務マニュアルなどは他社では通用しません。しかし、接客のノウハウ、売上アップにつなげた実績などは、他社でも活かすことができます。
ポータブルスキルには、「語学力」「PCスキル」などの技術的なスキルも含まれます。これは、同職種への転職においては大きな武器になります。ただし、異業種・異職種の場合はまったく役に立たないこともありますので、アピールできるかどうかは応募先によると言えます。
これに対し、洞察力・コミュニケーション力・統率力・トラブル対応力などの「ヒューマンスキル」もあります。これは、
どんな職種であっても必要とされる汎用性の高いスキルです。ただし目に見えたり、数値化できるものではないので、なかなか評価の難しい部分でもあります。逆に言えば、伝え仕方次第で「この人は高いスキルを持っているな」と採用担当者に思ってもらうことも可能になるのです。
まずは
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技術的スキル
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対人スキル(コミュニケーション力、協調性、統率力、説得力など)
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対自己スキル(自制力、忍耐力、柔軟性、冒険心など)
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対課題スキル(情報収集力、戦略的推進力、実行力など)
に分けて自分のスキルを洗い出しましょう。とにかく思いつく限り書き出してみることが大切。その中から、応募したい企業にとって価値の高そうなものを選び出せば良いのです。ただ「こんな能力がある」というだけでなく、「
それを活かしてどのような成果を上げたか」を具体的に書くと説得力が増します。
3. 転職における「WILL」「CAN」「MUST」をまとめる
キャリアの棚卸し、スキルの洗い出しができたら、実際に応募する企業に対しての
WILL・CAN・MUSTを書き出してみましょう。
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WILL…入社後に自分がやりたいこと、なりたい自分
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CAN…自分にできること、持っている能力
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MUST…やらなければならいないこと、企業が自分に求める役割
これがすなわち、企業の求める人材と自分自身をマッチングさせていく作業になります。どんなに素晴らしい能力を持っていても、採用側がそれを必要としていなければ意味はありません。企業が自分に求める役割を念頭に置いた上で、自分の持つスキルのうちどれが高く評価されるのかを考えてみましょう。
ここまでできれば、後は応募先の企業に合わせて職務経歴書の形式に落とし込んでいけば良いだけ。詳しい書類の書き方については次項で解説します。
■第三者の目で見てもらう
自分自身のポータブルスキルを見つけ出したり、企業の求める人物像にマッチングさせたりするのは、自分一人ではなかなか難しいもの。ついつい独りよがりになってしまいがちです。そんな時はキャリアアドバイザーに相談してみるのも1つの方法です。第三者の視点から見ることで、貴方自身の気づいていなかった能力や、転職後に活かせる経験を指摘してもらえることもあります。
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