転職ノウハウ

　面接の際、仕事内容については気軽に質問できても、給与などの待遇に関することはどのように切り出せばいいのか迷いますよね。でも正直に言って、「給与が一番気になるんだけど…」という求職者は多いことでしょう。ここでは、給与についてどんなタイミングで、どのように質問すればよいかを紹介します。

 
 
■あらかじめ希望額を決めておく
 
　面接に臨む際には、どれくらいの給与であれば転職を決意するのか、あらかじめ自分の中でラインを定めておきましょう。「今よりも高い給与を」と望む方が多いと思いますが、あまりにも企業側の想定とかけ離れた額を提示したのでは、転職自体が難しくなります。
　まずは現職、前職で自分がどれだけの給与をもらっていたのかを把握しましょう。一般に「年収」とは、所得税や社会保険料などが引かれる前の「総支給額」を指します。また、住宅手当、家族手当などの課税対象となる各種手当、ボーナス等も含まれます。源泉徴収票などで、自分の直近の年収を正確に確認しておきましょう。
　なお、異業種への転職の場合、前職の給与が参考にならないこともあります。業界別の平均収入額についてもしっかり情報を集めておきましょう。
 
 
■質問するタイミング＆質問の仕方は？
 
　面接の中で、仕事の内容や志望動機についての話が終わらないうちに、いきなり年収について尋ねると、「お金のことしか考えていないのでは？」と仕事に対する熱意を疑われる可能性があります。質問するなら、面接が終わりに近づき、面接官から「何か質問はありませんか？」と尋ねられた時がよいでしょう。
 
　その際もいきなり給与のことを聞くのではなく、まず会社のビジョンや仕事内容などについてふれてから切り出すと印象がよくなります。

　なお、どれほど気になっても、「お給料はいくらもらえますか？」と直接的に聞くのはよくありません。
「今後の選考ステップについて伺いたいのですが、条件面のご提示はいつ頃と考えればよいでしょうか？」
「給与体系について、求人情報では拝見しましたが、改めて確認させていただけますか」
「御社の場合、私と同程度の年齢、経験をお持ちのほかの社員の方の年収はどれくらいでしょうか」
など、少し遠回しに給与や待遇について知りたい、ということを伝えましょう。
　求人票に記載されている額を参考に、
「給与について○○〜○○万円とありましたが、どのような実績・努力があればこの額になるのでしょうか」
など、あくまでも努力や成果を上げた結果として質問するのもよいでしょう。
 
 
■「希望年収は？」と聞かれたら？
 
　「希望年収はどれくらいですか」「現職での年収はどれくらいですか」などと、面接時に企業側から質問されることもしばしばあります。

　企業側が希望年収を尋ねるのは、「自社の採用条件に合致しているか」を確認するほかに、「自分の市場価値を正しく把握できているか」を見る目的もあります。業界や職種、能力に見合った年収よりもはるかに高い金額を希望すると、「自分の客観的に見られていない」「自己評価が高すぎる」と判断されがちです。だからといって低すぎる額を示したのでは、「能力も低いのでは？」と思われる可能性がありますし、実際にその額で生活するのが苦しいのであれば、転職する意味がありませんね。

　希望年収は、現職・前職での年収や、業界・職種・年齢・能力に応じた平均年収をもとにして答えましょう。
「現在の年収は約○○万円です。基本的に御社の規定に従うつもりではありますが、現在年収と同額かそれ以上を希望させていただけますと幸いです」
などと答えるとよいでしょう。
「御社で働けるならいくらでもかまいません」
などと答えるのは、一見謙虚なようですが「自分の市場価値を把握できていない」と伝えることになるので避けましょう。
 
　また、現在の年収に不満があって転職を考えている場合でも、実際の年収よりも高めの額を伝えるのは絶対にやめましょう。入社後に源泉徴収票などを提出した際にウソがばれてしまいます。
現在よりも高い年収を希望する場合は、自分がその額に見合うという根拠を示すことが大切です。
・前職で身につけたキャリアやスキルを活かして活躍できる
・現在の会社に残った場合、年収アップが約束されている
など、採用側が納得するような理由を挙げて交渉するとよいでしょう
 
 
■交渉は転職エージェントに任せてOK
 
　転職エージェントを利用すれば、直接は切り出しにくい年収の交渉もキャリアアドバイザーに代行してもらえます。業界の情勢なども良く知っている転職のプロに任せられるので、忙しい合間を縫って自分で情報を収集し、交渉するよりも効率よく進められます。「これだけは譲れない」という最低ライン、「できればこれくらいあれば嬉しい」という希望ラインを伝えて相談してみるとよいでしょう。