中途採用の面接で、企業側が知りたいことは大きく分けて3つ。「あなたがどんな人で、どんな考えを持っているのか」(現在)、「どんな経験を積んできて、何ができるのか」(過去)、そして「入社して何をしたいのか、将来どのような人間になりたいのか」(未来)です。それを知るために、面接官はさまざまな角度から質問をすることになります。
1つの質問に対して、回答は1〜2分にまとめるのが鉄則。面接官が聞きたいポイントを押さえて、適切に回答するには、事前の自己分析や準備が大切になります。
ここでは、面接でよく聞かれる質問の例と、質問に対してどのような準備をすればよいのかを解説します。
■自己紹介
1. 自己紹介をお願いします。
2. あなたの強み(長所)を教えてください。
3. あなたの弱み(短所)を教えてください。
4. 仕事で大切にしていることはどんなことですか。
5. 周りの人はあなたをどのように評価していますか?
面接の冒頭では、あなた自身を知るための質問が多くなります。「自己紹介を」と言われたら、氏名に加えて簡単な職歴と自己PR、志望動機、締めのあいさつを伝えましょう。長所や短所、仕事への向き合い方などについては、書類作成の際に行った自己分析をもとに回答を準備しておきましょう。
■職歴・経験
6. 今までの職歴を教えてください。
7. 仕事上での成功体験を聞かせてください。
8. 今までの仕事上で、失敗やミスをした経験はありますか?
基本的には、職務経歴書に書いた内容をもとに回答すればOKですが、職歴が長くなる場合は、応募する職種に関連した内容に絞って述べましょう。その際、具体的な例や数字を盛り込み、面接官に「詳しく聞きたい」と興味を持ってもらえるよう心がけましょう。成功・失敗体験は、「その体験から何を学んだか」というところまで踏み込んで答えることが大切です。
■転職理由
9. 転職を希望する理由を教えてください。
10. 前職へ入社した時の志望動機は?
11. 前職で不満だったことはありますか?
12. 時間外勤務についてどのように考えますか?
13. 現在の年収、希望する年収は?
14. これまで人間関係で困ったことはありますか?
企業側はコストをかけて採用活動を行っています。特に中途採用の場合、「入社してもまたすぐ辞めるのでは?」という点は企業にとって大きな不安材料。そのため、転職理由については詳しく尋ねられることが多くなります。
大前提として、前職への不満を前面に出すのはNG。あくまでも前向きに、自分自身の成長のために転職を選んだことを主張しましょう。あなたの述べた退職理由に納得ができない場合、11〜14のような突っ込んだ質問が来ることも考えられます。嘘をつく必要はありませんが、不満や悪口にならないように注意しましょう。
■志望動機
15. 当社を志望する理由は?
16. 同業他社でなく当社を選んだ理由は何ですか?
17. この職を志望する理由は何ですか?
18. 当社のサービス・商品について知っていますか?
19. 当社の経営理念についてどうお考えですか?
20. この業界の今後をどう考えますか?
応募先の企業や業種・職種について、あなたがどの程度理解しているのかを問うための質問です。企業のホームページなどを読み込んで、商品やサービスの内容、経営理念などについてしっかり理解しておきましょう。また、同業他社との違いについてもきちんと把握しておくことが大切です。
■将来のビジョン
21. 入社したら何をやりたいですか?
22. あなたを採用したら、当社にどのように貢献してくれますか?
23. 今後のキャリアプランを聞かせてください。
24. 将来、どんな自分になりたいですか?
企業が知りたいのは、応募者がきちんと入社後のビジョンを描けているかどうか。これまで培ってきた経験やスキルを活かして、どのように会社に貢献できる人材なのかを見極めようとしています。職務経歴書作成の際に分析した「WILL」「CAN」「MUST」や、自身の描いたキャリアプランをもとに、自分なりの回答を組み立てておきましょう。
■条件面
25. 勤務地について希望はありますか?
26. 残業や休日出勤は可能ですか?
27. 入社時期はいつ頃が可能ですか?
28. ほかの職種や雇用形態でもいいですか?
29. ほかの企業の選考状況はいかがですか?
労働条件や待遇について確認するための質問です。ここで選考を有利に進めるために嘘をついても、入社してから自分が困ることになりますので、率直に答えるのがよいでしょう。転勤や残業ができない場合、ただ「できない」と答えるだけでなく、相手が納得できるような理由を述べることが大切です。
また、他企業の状況について聞かれた際は、あくまで面接先の企業が第一志望であることをアピールしつつ、「まだ結果が出ていません」などぼかして答えるのが良いでしょう。具体的な社名は出さないのが鉄則です。
■最後に
30. 何か質問はありますか?
いわゆる「逆質問」と言われるものです。「特にありません」と答えてしまいがちですが、最後のアピール機会なので、ぜひ質問を用意しておきましょう。企業のホームページを見ればわかることや、面接の中で話題に出てきたことを改めて尋ねるのはNG。事前に3〜4つは質問を考えておきましょう。
なお、事前に用意した質問は、必ずメモしておくことをお勧めします。面接の場で緊張してしまったり、あれこれ話をしたあと最後になって「何を聞くつもりだったんだっけ?」と忘れてしまうことが予想されるからです。また、メモを見ながら話す時は、必ず面接官に「すみません、メモを見てもよろしいでしょうか?」と一言断ってからにしましょう。