転職を考えている皆さんの中には、「今やっている仕事と全く違う仕事にチャレンジしてみたい」という方もいることでしょう。仕事を通じて培った技術や知識を直接活かすのではなく、未経験の分野へ挑戦するには、それなりの覚悟が必要です。ここでは、異業種・異職種にチャレンジする場合に心がけておくべき事柄について説明します。
■年齢が上がるほど異業種・異職種転職は難しくなる?
異業種への転職の割合は、24歳以下の年代では70.5%を占めていますが、その割合は年齢が上がるにつれて低くなり、35〜39歳の年代では50.1%にまで下がります。
(※転職サイトDODA「異業種・異職種転職の実態」より引用
https://doda.jp/guide/ranking/077.html)
ただしこの「異業種転職」には、例えば不動産会社の営業だった人がメーカーの営業に転職した場合であっても、「業種が異なる」という考え方でカウントされます。「異職種」への転職となると、24歳以下でも48.0%、35〜39歳では28.0%とぐっと低くなります。
これは、転職者の年齢が低く、社会人経験が浅いほど、企業側は「現在持っている知識や経験」ではなく、「将来的にどれだけスキルを伸ばせるか」というポテンシャルに期待して採用するためと言えます。ですから、異業種・異職種に挑戦するならば、できるだけ若いうちにチャレンジする方がチャンスは広がると考えられます。30代以上であえて異業種・異職種にチャレンジするならば、「なぜその仕事を選ぶのか」という説得力のある理由づけが必要になってくるでしょう。
■「未経験歓迎」はどこまで本当か?
求人情報を見ると、応募の条件に「未経験歓迎」「業種・職種未経験OK」などと書かれている企業はたくさんあります。即戦力が求められることの多い転職市場で、あえて「未経験歓迎」を掲げる企業の狙いはどこにあるのでしょうか。
企業が「未経験者」を募集する理由としては、「若い人材を採用したい」「将来の伸びしろに期待している」「特殊な業界でそもそも経験者が少ない」などが考えられます。場合によっては、「他の企業でクセがついていると、入社後に教育しづらい」「全く異なる視点から新しい風を吹き込んでほしい」といった理由で、未経験者を歓迎する企業もあります。後者の場合、経験がないことはかえって有利なポイントにもなります。
まずは求人情報をじっくりチェックし、どういう理由でその企業が「未経験歓迎」としているのかを探りましょう。理由がわかれば、それに合わせたアピール方法が考えられます。
また、これまでの採用歴の中で未経験者がいるのかどうかもできればチェックしておきたいポイントです。未経験者を育てる体制ができていなければ、異業種・異職種からの転職は入社後に苦労する可能性が高くなります。求人情報で確認したり、面接の場で尋ねてみるのも良いでしょう。
■異業種・異職種転職に成功する秘訣は?
1. 業界・企業の情報を得る
異なる業種・職種に転職する場合、特に重要なのが「情報分析」です。テレビドラマや漫画での印象や、接客の様子などを垣間見ただけで、「かっこいい」「楽しそう」などと勝手にイメージをふくらませていると、転職後に「こんなはずではなかった」とがっかりすることになります。転職サイトや情報誌などで、希望する業界のこと、応募先の企業のことはしっかり調べておきましょう。
会社によっては、「職種名」と「仕事内容」がマッチしていない場合もあります。入社後にどんな仕事をするのか、採用情報を読み込むだけでなく、可能ならばその会社で働いている人とコンタクトをとり、生の声を聞いてみるのもおすすめです。キャリアアドバイザーに相談してみるのも良いでしょう。
2. 自分の長所をきちんと把握する
その業種や職種の経験がない場合、企業側に自分を「どう売り込むのか」は、きちんと戦略を立てて考えておく必要があります。まずは自分自身の能力・資質をしっかり分析し、アピールできる長所や得意分野を書きだしてみましょう。その上で、志望先の業種・職種においてその長所をどのように活かせるのかを考えてみましょう。
3. 社会人としての経験値をアピールする
たとえその分野の経験がなくても、今まで働いていた実績の中に活かせるものは必ずあります。例えば「難しい局面をどのようにして乗り越えたか」という経験は、どんな業種・職種でも役立てることができます。これが新卒者とは違う「社会人経験者」としての強みです。「自分の経験の中で何が活かせるのかわからない」という人は、キャリアアドバイザーに相談してみましょう。自分では思ってもいなかったアピールポイントが見つかるかもしれません。
■応募先企業にどのようにアピールするか
例えば、「事務職」から「営業職」転職したい場合。一見全く違う職種のように見えますが、例えば営業のバックアップとして事務作業に従事していたならばならば、業界に関する知識・営業の仕事に関する知識は他の職種よりも身についていると言えます。さらに事務として培った「書類作成」「統計処理」などの能力は、営業としても活かすことができるはずです。また、社内での営業スタッフとのやりとり、顧客との応対などを通して、「コミュニケーション力」も培われているでしょう。
上手にアピールすれば、異業種・異職種であっても活かせるスキルはたくさんあります。「分野は違いますが、○○で培った××のスキルを活かせると考えています」など、具体的に語れるよう準備しておきましょう。履歴書やエントリーシートに「志望動機」「自己PR」の欄にがあれば、ぜひ記載しておきましょう。面接の際にも、「なぜ経験のないこの仕事を選んだのか」は未経験者に対してほぼ確実に聞かれる質問です。ここで積極的にアピールして、企業に良い印象を残しましょう。